本年5月28日「第68回日本輸血・細胞治療学会」席上で理事長半田誠氏から表彰を受けました。隅田氏が〝心臓血管外科医として臨床の傍ら本学会を含む国内外の学会活動を通じて冷凍血液の開発や自家造血幹細胞移植の実施等我が国の細胞凍結の先駆者として輸血医療や低温医学の発展に尽力”してきたこと、また、〝特筆すべきこととして、未だ在野において私設研究所を運営し精力的に研究活動を続けていること”から、その業績に対し、「第14回同学会村上記念賞」が授与されたものです。「村上記念賞」は輸血学者、故村上省三氏の業績を記念し設けられたもので、同氏は東京大学旧血清学教室、日赤中央血液センター所長、東京女子医大教授、日本輸血学会会長などをつとめられました。
隅田氏は東邦医大卒業後、若い頃から「冷凍血液」の研究に関心を持ち、既に1965年には冷凍血液輸血の発表をしていましたが、68年、国立福岡中央病院外科へ就職した後、胸部心臓血管外科の傍らで冷凍血液の輸血も続け、73年、74年、その臨床成績を外国で出版しました。邦人による英文医書は希な時代で、この本は世界中で引用されています。同氏は現在なお銀座でクリニックを開業するとともに、細胞、組織、臓器の凍結解凍後の現象を毎日観察するなど研究に余念がなく、世界的な学会活動にも積極的に取り組んでいます。
隅田氏は長年研究と臨床とを支援してくれた方々に感謝すると同時に、今後とも賞の名を辱めないよう努める、と受賞の喜びを語っています。